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【レビュー】西部劇風雪山密室ミステリー『ヘイトフル・エイト』を見た

こんばんは。白乃もかこです。

今日は2016年の2月に公開されたクエンティン・タランティーノ監督の映画『ヘイトフル・エイト』について書きたいと思います。

ヘイトフル・エイト(字幕版)


この監督の映画は大好きで、是非とも劇場で見たいと思ってたのですが時間がなかなかあわなくて行けず…
最近やっとブルーレイがレンタル開始され始めたので昨日やっと見ることができました!
というわけで、忘れない内に書いてしまいます。

クエンティン・タランティーノ

私は監督で選んで映画を見る派なのですが、彼の作品の演出や皮肉じみたシナリオが好きで、これまで何本か見てきました。
彼は映画監督である前に大の映画好きであるため、彼の映画を見るといろいろな映画のオマージュがちりばめられています。

残念なのが、私がそこまで映画に詳しくないのでそれらに気づけないこと笑
もっと いろいろな映画を見てたら、もっと彼の作品を楽しめるんだろうなぁ~

タランティーノ作品のメジャーどころといえば『パルプフィクション』や『レザボア・ドッグス』ですが、
個人的には『キル・ビル』と『デス・プルーフ』が好きです!


そして今回の『ヘイトフル・エイト』は『デス・プルーフ』で主演を務めていたカート・ラッセルも出演しているので一層わくわくしながら見ました!

ヘイトフル・エイト

タランティーノの映画は西部劇風だったり乾いた大地が舞台だったりするイメージが強いのですが、今回の映画は一転。
猛吹雪にさらされた雪国の山荘が舞台となっています。
映画のポスターからもうかがえる通り、一面なのですが、しかし繰り広げられるのは西部劇。

しかも密室ミステリーなのだそうです・・・!
ミステリー映画大好きな私としてはとてもそそられますし、雪国なのに西部劇というギャップに興味津々でした。

映画自体も約3時間という力の入りよう。
しかも一度映画公開の数年前に脚本が流出してしまい、そこからまた書き換えていたそうです。

感想

以下、若干のネタバレを含みます。



一言でいうと、とても面白かったです!
実は舞台となる山荘までの道のりまでも意外と長くて、そこまでは若干冗長に感じてしまったのですが、
ひとたび山荘に入ると密室の中で疑心暗鬼になった登場人物の駆け引きの会話や、漂う不自然さを推理するのが楽しくて3時間もあっという間でした。

一見偶然に会したかのように思える8人の悪人が実は複雑な因縁で絡み合っていたり、巧みに嘘をついていたりします。
正直、結局どこまで嘘だったのか分からないものも…(経歴全部が嘘にも思えてくる)

ちなみに映画を見るにあたって、南北戦争や人種差別についてある程度予備知識を持っておくとよりすんなりと呑み込めると思います。
日本人には全く身近な問題ではないので、よく分かっていないと「ふーん」と話半分で聞いてしまいそうですが、知っているほど因縁の深さを感じられるかと。

ミステリーですが、「単にミステリー大好き!タランティーノの映画は初めてです!」
って人にはあまりおすすめできません。

確かにミステリー要素もあるのですが、理論立ててスマートに謎を解決☆ではなく、
どちらかと言えば、そこはタランティーノらしく、ちょっと頭を使って、脅して、スマートに銃をぶっ放して解決☆って感じです。

そのため見終わった印象としてはミステリー<西部劇 です。

今までのタランティーノ作品と比べてどうだったか、というとやっぱり前述した作品の方が好きかな、と思います。

でも少しでも気になった方、一度見てみることをおすすめします!
独特の雰囲気を味わえるかと思いますよー!



感想(ネタバレ込)

※以下、細かいネタバレも含みます。





前述しましたが、なんと言っても山荘、というよりミニーの紳士服飾店に着いてからの3章以降が楽しいですね。
扉を蹴破る度に板を打ち付けてドアを閉めるシーンがなんともおかしいのですが、そもそも壊れてること自体がちょっとおかしい。

ジョン・ルースは最初特に怪しむそぶりも見せず中でくつろぎ始めますが、ウォーレンは疑い深く店をあずかってるというメキシコ人に試すような質問をしたり、店内の怪しい点を見つけていったりするうちに、見ている側も一緒に疑心暗鬼になり、映画の世界に引き込まれていきます。

好きなシーンはデイジーがギターを弾いてる最中、毒入りコーヒーを飲むシーン。
デイジーがギターの音色に載せて意味深な歌詞を歌ってる間毒入りコーヒーを飲みますが、なかなか毒の効果が現れません。

あれ?大丈夫なのか…?と思ったら盛大に血を吐き出すのが豪快で一気に物語の緊張感が急加速していきます。
思えば死体を自主的に外に出すと言い始めたのは仲間の一人だったので意図的にコーヒーを飲んで温まりたくなる状況に仕向けてたんですね。

雪の中閉じこめられ疑心暗鬼になる中毒を入れた犯人探し、という場面は、雪山のカート・ラッセルということも相まって『遊星からの物体X』が思い起こされます。
コマ割とか細かいところでもオマージュが散りばめられてるそうなのですが、そこまで記憶には残ってないので近々こちらも改めて見たいです。

個人的に前述した『デス・プルーフ』が好きなので、5章でゾーイが現れたときはめちゃくちゃ嬉しかったです!笑顔が素敵…
あっけなく殺されちゃったのは残念でしたが…

しかしヘイトフル・エイトと言いつつ、9人目が現れたときは驚きました。
もともと御者のO.B.を入れると9人じゃんと思ってたのですが、彼はヘイトフルではないので違うんですね。
現れた9人目はヘイトフルだと思うんですが。
『8』と言われると8人いるんだって思いこんじゃうのでちょっとズルい。

最終的には(おそらく)誰も生き残れないというなかなかパッとしないラストの映画でした。
最初馬車の中で人種的な問題でいがみ合っていた二人が、一人のヘイトフルな女性を絞首刑に処すために手をとりあい、更にリンカーンの手紙でしめるのはなかなか皮肉だなと思いました。

最後に、やっぱり映画館で見たかったです。
もともとしょぼいモニターで見てるので他の映画も映像が横に永かったようだし、画面が小さくてもったいなかったw
気になる映画は、やっぱり公開が終わらないうちに早めに映画館で!